呪いの着メロ
『だから、彼女の・・・・・・三嶋さんの代わりに私が作詞してみたの。『片目の少女』をテーマにしてみて・・・・・・これで上手くいくかどうかは本当に賭けだった。よかった』

 よかった、か。その言葉をお前から聞けるとは思わなかったよ。

『・・・・・・もしかしたら、三嶋さんは止めて欲しかったのかもしれない。本当は・・・・・・恨みながら死んだことを後悔していたのかもしれない』

 その口振り・・・・・・まるで三嶋を代弁しているようだな。

 アイツの気持ち、わかるのか?

 同じ、本が好きな少女として・・・・・・。

「その、ありがとうな」

『いい』

 そう短く返した霧谷の声はいつもの感じに戻っていた。

まぁ、なんにしても今日は疲れた。

「それじゃ、また明日、学校でな」

『おやすみなさい』

 俺は少し名残惜しそうにケータイを切った。

 はぁ、と溜息が漏れ、ベッドに座り込む。

 乱れたシーツと無茶苦茶になっている布団が先ほどまでのことが現実だったと物語っているが、忘れたい。

 俺はそのままベッドにダイブした。

 そして、改めて矛盾した三嶋の気持ちを考えてみる。

 多分、三嶋が霧谷を襲えなかった理由は眼帯の姿を自分に重ねていただけじゃない。

 霧谷の本好きな性格に自分を重ねていたんだ。

 だから、アイツから本の世界を奪えずにいた。

 自分と同じ苦しみを味あわせたくなかったから・・・・・・・

(だからって・・・・・・俺に回すなよ・・・・・・・まぁ、俺は、寝ちまったけどな・・・・・・)

 さすがにもう限界だ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・
 
 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・

< 38 / 41 >

この作品をシェア

pagetop