あなたの傍で~1位の彼女と2位の俺…番外編~
結局蓮を起こさないまま
蓮のマンションを出てタクシーが通る道に出るために歩きながら…
蓮との思い出を1つ1つ思い出していた。
高架下に差し掛かった時…思い出したようにバッグの中から1本の口紅を取り出す。
1度しか使ったことのない口紅。
蓮と2度目のCM撮影の時に使用した…秋色の口紅だ。
メイクさんに貰ったのだけれど、蓮との思い出だと思うと使うことが出来ず…ずっとお守りのように持っていた。
口紅をクルッと捻り出し、高架下の壁に口紅で赤い線を引きながら歩き出した…。
この口紅が無くなったとき…
私の蓮への気持ちも無くなってしまえばいい…。
私のこのどこにも向かうことが出来ない気持ちは…
この赤い線に込めて…
この場所に捨てていくから…。