囀~サエズリ~
やけくそになって天井を蹴り続けた。

膝が動かなくなったって関係ない。

俺は助かってみせる。

彼女を助けてみせる。
ここから出たら、彼女に結婚を申し込もう。

もう体が動かない。

所詮無駄なあがきだった。

でも諦めない。

真っ暗なボックスは俺を恐怖から逃れさせなかった。

だけど今、恐怖と立ち向かえるのは彼女のおかげだ。

またしてもスピーカーのスイッチが入った。

やけに雑音が多い。

雑音に消されそうな程小さな声で、“やめて、いや、助けて……キャー”

彼女の声だ。やめろ。

やめてくれ。

うわぁ~~!!

叫んだって多分誰にも聞こえちゃいない。

動かない体を必死にふったが、わずかしか動かない。

くそっ。
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