暇だから、ゲーム好きなイケメンを殴りに行こう!
「はぁああああ!」


全ての力を拳に込めて、蒲焼の鰻フェイスに向けて放つ。空気を切り裂き、一直線に飛んでいく拳を見て蒲焼はニヤリと笑った。


_ッ、しくじった!


気づいた時にはもう遅く、対象の蒲焼の姿が消え、拳が虚空めがけ勢いよく突っ込み…空振り。私の体はぐらりと傾き、顔面から見事に着地した。するとHPはぐんぐん下がっていき、0になる。


…なにこれ、デジャヴ。


デジャヴを感じる私を置いて、画面がブラックアウトし、デカデカとYOU LOSE!という字が悲しいBGMと共に現れる。ああ、また負けてしまった…


「はい、これで26勝0敗0引き分け。みるくちゃん弱いなあ」


ピコン!と軽快でマヌケな音が鳴り、チャットが更新される。妙にイラっとしたものの、返信しないと後々めんどくさいので、さっと文字を入力していく。


「うるさい」
「わー。怒るのよくないで。女は笑顔が武器さかい」


弄ぶような口調にまたイライラッとする。こっちが返事する前にピコン!ピコン!ピコン!連続で音が鳴り、(^∇^)とだけ入力されたチャットが増えていく。はぁ、とため息をついた。


「(−_−#)」
「怒らんといてってー!可愛いお顔が台無しやー

あ、もちろんネット上での話やで?」
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