さよなら、なんて言わないで。
俺は約束を守る方だから、破った覚えはない。
俺はそのまま、くすんだ空に向かって言った。
『......約束を守らなかった覚えはねぇぞ...』
なんて、そんなことを言って俺は目を閉じた。
目を閉じると浮かんでくるのは、他のだれでもない
少し前に他人になってしまった彼女で。
笑った顔、怒った顔、拗ねた顔、
いろんな表情のあいつが浮かんでくる。
だけど、その中でも、
彼女の微かに震える小さな背中が
俺の頭を支配していて、いくら目を強く閉じても
その残像が消えない。