冷徹執事様はCEO!?
「どうしてうちで使用人まがいの事なんてしてるのよ」

「社長がアムステルダムに行ってる間にあの家に住ませてもらっているので、家賃を払う代わりに管理をする約束をしています」

「私の身の回りの世話までしてたじゃない」

「家の管理のうち、です」

「備品扱いかよ」思わず突っ込む。

「燁子のように手のかかる備品はなかなかありませんけどね」田中はクスリと笑った。

「よく食べて、よく寝て、笑っていたかと思えば、さめざめと泣き出して私は翻弄されっぱなしです」

田中は柔らかく微笑むとそっと私の手を握った。その甘い笑顔に思わず腰が抜けそうになる。

…おっと、危うく、また騙されるとこだった。私は気を引き締め直す。

私は繋がれた手をさりげなく放す。

「でも田中はお金持ちでしょー。家でもマンションでももっといいとこ借りればいいじゃない」

私はフン、と横を向いた。
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