冷徹執事様はCEO!?
「田中が気に入ってるのは、家でもない。私でもない。葛城家でしょ」

田中から一瞬で笑みが消えた。

「どうゆう意味でしょうか?」

一転して凍てつくような冷ややかな視線を向けられる。

やば…めっちゃ怖い。

本当の田中の姿を見た気がする。

思わず視線を背けそうになるが、グッと堪えて睨み返した。

「今日のパーティーに来た理由は私をエスコートする他に目的があったんでしょ」

「誰に唆されたんですか?」

田中は私の腕を掴む。

「離しなさい」

私は毅然と言い放った… つもりだけど、声が震える。

此処で新田の名前を出したら恐らく彼女は何らかの制裁を受けるのではないかと思わせるほどの迫力だ。

「誰から聞いたか言えば離しましょう」

「私が自分で考えた」

通りすがりの人々が私たちのただならぬ雰囲気に好奇の視線を向ける。

「言わないつもりか。まあ、いい」

腕が解放されると田中の手が届かない所まで後ずさった。
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