冷徹執事様はCEO!?
「すまない」田中は溜息をつき、人さし指で眼鏡をあげる。

「まあ、玄関先で騒ぐとご近所の目もあるから、とりあえず中で話そう」

匠ちゃんに促されて三人で部屋の中に入って行く。

リビングのソファーに座ると男性二人は早速仕事の話に花を咲かせている。

「葛城商事でブラジルのパルプ工場を買収するらしいな」

「お、相変わらず情報早いな」

休日なので匠ちゃんはTシャツにカーディガンを羽織り前髪を下ろしている。

童顔なので下手したら20代に見える。

田中も珍しくデニムに淡いブルーのVネックセータというカジュアルなスタイルだ。

男子小学生がDSを見せ合うように、互いのタブレットを見せ合いながらキャッキャとはしゃいでいる。

さっきまでの緊迫した空気は皆無だ。

本当何しに来たのかしら、この人達。

呆れながらも私はキッチンで紅茶を淹れる。

テーブルにティーカップを並べると「ありがとう」と田中が礼を言う。

いつのまにか主従関係が逆転している。しかも妙にしっくり来てる所が悔しい。

それに、さっきから匠ちゃんと田中はお互いをナチュラルに名前で呼び合っている。

「二人は以前から知り合いだったの?」

航生の記憶が正しいのか、恐る恐る確認してみる。
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