冷徹執事様はCEO!?
田中の寝室は、大きなダブルベッドに観葉植物が置かれたシンプルな部屋だった。

私は広々としたベッドにドサリと倒れこむ。

サイドテーブルにはランプが置かれ、その脇に何冊もの本が雑然と積み上げられている。

私はモソモソと布団に潜り込むと本を一冊手に取った。

ペラペラとページを捲ると、小難しい経済用語にグラフやデータが羅列されている。

やはり直ぐに眠気が襲って来た。

ああ、やっぱり、睡眠導入効果が抜群…

「ぐう」

私は、そのまま本の上にバタリと倒れこんだ。


「おいっ!燁子」

不機嫌な声で深夜に起こされる。

「あら田中…久しぶりね」私は半分眠った状態で状況がよく掴めない。

「おまっ…!本に涎垂れてんじゃねえか!」

「ああ、ごめんごめん。なんか読んでたら眠くなっちゃった」

私は手の甲で涎を拭って本から顔を退ける。

「読んでた、って内容は解ってんのか?」

「ぜーんぜん。でも読んでたらよく眠れるの」

「信じられない」

田中は目を大きく見開いてフルフルと震えている。

「はい、返す」私が本を差し出すと田中は手から引ったくった。

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