冷徹執事様はCEO!?
女学生と別れ、大学の友人宅へ向かう。

教えてもらった住所へ向かっているが、どんどん人里から離れているよな気がする。

暫く走ると鬱蒼とした森林に囲まれた鉄格子の門扉が見えて来た。

こ、ここか?

思わずバイクを停車させて中の様子を伺うと、雑木林の奥に伸びる私道が見えた。

友人である葛城は確かに何処かの金持ちのご子息だとは噂で聞いていた。

確かに卒のない立ち振る舞いや、一見すると柔らかい物腰は育ちの良さを感じさせる。

だけど、これ程とはな。

再びアクセルを握りバイクを発進させると、敷地内へと入っていった。

雑木林の私道を抜けると、古びた洋館が見えてくる。

その佇まいは、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城を連想させた。


玄関脇のガレージにバイクを止めて、仰々しいダークウッドの二枚扉の前に立つ。

覗き窓には鉄格子がはめられていた。

ベルを鳴らして暫くすると、軋みながら扉が開いた。

中から白いYシャツに黒いスーツをきた上品そうな初老の紳士が出てくる。

「こんにちは、匠さんの友人で田中と申します」

父親だと思い、俺は深々と頭を下げた。

「覗っております。匠坊ちゃんは中でお待ちですので、どうぞ」

初老の紳士は洋館の中へとエスコートしてくれた。

『坊ちゃん』と呼んでいるということは、使用人のようだ。

何なんだ、この家。

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