冷徹執事様はCEO!?
俺は恐る恐る初老の紳士の後についていった。

玄関ホールは吹き抜けになっており、ドーム型の天井の周りにはステンドガラスの窓がはめ込まれていた。

しかも、靴は脱がずに土足である。まるで外国のお城にでも来たようだ。

初老の紳士は『どうぞ』と言って俺をリビングに通す。

また、リビングも期待を裏切る事はなかった。

よく磨かれた板張りの床に、ペルシャ絨毯が敷かれており、その上に猫足のテーブルと茶色い皮張のアンティー
クソファーが置かれている。

そして天井からはシャンデリアがぶら下がっていた。

なんというか…ロココ調だ。

「稜、よく来てくれたな」

ソファーから立ち上がり、友人の匠が出迎えてくれる。

「デッカイ家で驚いたよなー」

先に到着していたもう一名の友人、駆が目を輝かせて言う。

「キツネに化かされたかと思ったよ」俺は肩を竦めた。

俺たち3人は共通のゼミで知り合った。

今回もゼミのグループ課題を作成するため、葛城の家に集まったのだ。

『次世代の広告研究』について熱く議論を交わすはずが、いつの間にか、先日のコンパの話に花が咲く。

「で、結局稜はあのギャルの子お持ち帰りしたんだ」駆がニヤニヤしながら尋ねる。

「勝手に付いてきただけだ。美容部員の子をお持ち帰りしたのは匠の方だ」

「人聞きが悪いな、稜。俺がお持ち帰りされたんだよ」匠は二コリと穏やかな笑みを浮かべる。

「匠、彼女いなかったっけ?」

「それは、それ。これは、これだよ?駆」匠は爽やかに腹黒いことを言ってのける。

「だな」駆も納得したように頷いた。

俺達三人とも不道徳な生活を送っているので、誰も責める事はしない。ま、男なんてそんなもんだ。
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