冷徹執事様はCEO!?
久しぶりに葛城家の面々がダイニングテーブルへ揃い踏みである。

総勢12名、圧巻だ。

「では、今年一年の益々の発展と、燁子と田中くんの幸せを祈って」

パパが乾杯の音頭を取ると、皆がグラスを掲げる。

「乾杯!」

一斉にグラスを重ねる音がした。

美味しい料理とお酒に、会話が弾む。こんなに賑やかなお正月は久しぶりだ。

稜はお皿に料理を取り分けてくれたり、お酒をグラスに注いでくれたりと小まめに世話を焼いてくれる。

さすが元執事…

「燁ちゃんのフィアンセはとっても素敵な人ね」

隣に座った晴子姉さんの長女舞ちゃんが耳元でそっと囁く。

「ありがとう」私は嬉しくってつい頬を緩めてしまった。

「でも、今日はもっと素敵な人を見つけちゃったの」

いつも知性的な舞ちゃんが頬を染めて、恥ずかしそうに笑みを浮かべる。

「ええ、だあれ?航生?」

「航生さんも素敵だけど…」舞ちゃんがチラリと向けた視線の先を追う。

ユウキが匠ちゃんにワインを注いでいた。

「匠ちゃん?!」

「匠さんは怖いから…」やっぱり女子からは指示がない。

という事は…「ユウキ?!」私が尋ねると舞ちゃんは真っ赤になって、こっくり頷いた。

「燁ちゃんがお嫁さんに行ったら、ユウキさんはうちに来てくれないかしら…そしたら、私塾も英語のお勉強もピアノとバイオリンのお稽古も水泳も、もっと頑張れるのに」

舞ちゃんは手を胸の前で組み、ウットリしながら言う。

私からすれば、習い事5個の時点で、もう十二分に頑張っている。

「どーだろー…私はその辺のところよくわからないからグランパに聞いてみたら?」

舞ちゃんは大きく何度も頷く。

「私、この先クリスマスプレゼントはいらない!誕生日プレゼントも!」

私はアハハ…と空笑いする。

しっかり者の舞ちゃんだけど、残念ながら男を見る目のなさは私と似ているようだ。

どうか、彼女のささやかな初恋が木っ端微塵に打ち砕かれませんように、と祈るばかりであった。

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