冷徹執事様はCEO!?
「ちょーひま」

私は部屋のベッドにゴロリと転がった。

その時、タイミングよく携帯電話の着信音がなった。

「…はい、もしもし」

『燁子、今何してるの?』

電話の相手は学生時代からの親友真巳からだった。

「…暇してる」

『あ、そう。丁度よかったわー!今日これから美容室なんだけど終わったらハイティーでもしない?』

ハイティーですか。

真巳もナチュラルにお嬢様側の人間である。

「…えー何処で?」

『15:00に六本木のハイアットはどう?あんたの家も近いし』

「面倒だな…」

ホテルに行くとなるとそれなりに体裁を整えていかなければならない。

『相変わらず出不精ね。暇なんだからいいでしょー?』

田中もいないし、かと言って家に1人でいて悶々と思い悩むのもかったるい。

「わかった。じゃあ、15:00にハイアットのロビーで』

『後でねー』

真巳はご機嫌に言うと電話を切った。

15:00だと後2時間しかないじゃない。

「ああ、面倒くせえ」

私はノロノロと重い腰を上げる。

しかも着ていく服もないじゃない。

約束した事を私は早速後悔したのだった。
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