冷徹執事様はCEO!?
ドライヤーで髪を乾かしていると田中がベットから起き上がり私の背後に立つ。

「私がやりましょう」

「いいわよ。田中は休んでて」

「いいえ、私がやりたいんです」

田中はサラサラと私の髪を撫でながらドライヤーの暖かい風をあてる。

「…今日は…ありがとう」

伏目がちに私は言う。

30にもなってこんなお礼の言い方しか出来ない自分の狭量さが情けなくなる。

「やっぱり燁子様は皆さんに愛されているじゃないですか」

「そうね、そうだったね」

駆けつけてくれた兄弟達の心配そうな顔を思い浮べる。

「今日はご兄弟にも、代表にもきちんと自分で話をして、頑張りましたね」

「今そうゆう事言わないで」

「私は貴方を誇りに思いましたよ」

駄目だ… 涙腺が決壊して頬に涙がボロボロ零れ落ちる。

「うん…」

みっともないので、泣くのをやめようとするが、一度溢れでてしまうと止まらない。

私は子どものようにしゃくりあげた。

田中はドライヤーで乾かす手を止めて、私の肩に手をおいた。

「ふえ?」

私は涙でぐちゃぐちゃの顔で田中を見上げる。

田中は私の手を引いて、立たせるとそのまま抱き寄せた。
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