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際立った特徴というものはなかったけれど、だからといって自分の身を飾った素振りもなく、いつも1人で読書をする彼女。
少年は、彼女のそんな素朴さが好きだった。
彼女には友達がいなかったわけではなかったが、多いと表現するほどでもなかった。
というよりも少年には、彼女自らが壁を作っているのではないだろうかとさえ感じた。
何かを恐れている。何かに怯えている。
ただの思い込みかもしれないが、なんとなく、そんな気がしたのだ。