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“あの日”の記憶




――――――――。


真っ暗な、世界。


あたしは…ここは…どこなんだっけ…?


どうしてこんなにも、身体中が痛いんだっけ…?


…あれ?


あたし、さっきまで屋上にいなかった?


ぼんやりだけど、真っ赤な大空が見える…。


世界が反転したのかな…。


そんなことって、あり得る?


…あぁでも、わかる気がする。


…あたしはこの感覚を、もう一度味わうことになるんだ。


あたしの下にあるのは、誰のものかもわからない真っ赤でどす黒い血。


シイナと同様あたしの腕も足も、そして首も、普通に考えればあり得ない方向に曲がっている。


屋上からの威力って、こんなにもすごいんだ。


感心している場合ではないということは自分でもよくわかってる。


…でもコレ、あたしも助からないな…。


シイナと同じくらい醜いんだろうな…あたしも真っ赤だ。


口の中は、鉄の味で埋め尽くされている。


手がベトベトする。





――あたし、死ぬんだ。





朦朧とする意識の中で、これだけははっきりと理解できた。


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