届かなくても、

完全敗北の知らせ

「きーさん知ってる?」




「ん?」






突如友達から話された内容は



あまりに衝撃的なものだった。





「穂波くん、彼女できたんだって!!」






穂波くんって誰だっけ…と考え





彼の事だ、と思いだす。




と同時に、心がザワッとした。





「それ、本当?」




「うん!!



彼女の方が『付き合った』





って触れ回ってるみたいよ?」





とうとう終わりが来たか。




心の中で何とも言えない息をつく。





いずれこうなることは分かっていた。






クリスマス一週間前。




なんだかんだ言って



もうそんなに過ぎてしまった。



誰だって



クリスマスに一人寂しくケーキを食べる…



なんてことは避けたい事態だ。




現に私はそうなることほぼ確定で。




彼一筋で来てしまったせいか




もう次の恋は取り逃したようだ。






「もーっ残念!!





穂波くん優しいから、



私結構狙ってたんだけどなー!!」






狙ってた、なんて言葉が



使えるだけいいじゃないか。




狙ってたも何も




私は的自体本当に見ていたのだろうか。






今はそう思う。
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