届かなくても、
おもむろに立ち上がり一番前の廊下側の席から



順に名前を上げていく。






岡田、橋本、ゆっきー、神谷、



由奈、裕子、亜香里、仙台さん…





どんどん名前を上げていく。




姫の名前も仮面の名前も。





そして一番端の窓際の席。





「穂波蛍…」





そこが彼の席だ。





私はクラス全員の名前を点呼すると





後ろのロッカーへ向かった。





上履きを前の黒板に投げつけて




靴下でロッカーに上がった。






小さく、音が聞こえる。





整った和音が聞こえる。





修也がまとめてくれてる、





そう思いロッカーに寝っ転がった。





騒がしくてイライラする教室が




嘘のように静寂を取り戻していた。





蛍光灯を眺める。






目があまり良くないから見えないけど




数字とアルファベットで


構成される商品名が記載されている。





足音が近くなってくる。




誰の足音だろう。





先生ではないなぁ。




小走りでこっちに来る。




誰だろう。

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