俺様社長に捕らわれて




次の日の午後。
洋輔は圭人と共にジュエリーショップcloverに出向いていた。









「長谷川社長、わざわざお呼び立てて申し訳ありません」

「いえ、こちらも、藤堂社長とは一度面と向かって話がしたいと思っていましたから」

「そうですか。早速なんですが、貴方が我が社に求めている買収の件ですが…」

「いやですね…こちらは買収しようだなんて全く思っていません。再三、業務提供のお話をさせて頂いていたのですが、まさかそんな風に思われていたとは…」

「しかし、業務提供だなんて都合の良い話、何か裏があると考えるのが自然では?うちは長谷川グループとは違い、中小企業です。貴方の会社にメリットがあるとは到底思えません」

「メリット…ですか。それはこの会社を今よりも大きくする自信があります。それは貴方にとって良い話なのではありませんか?」

「えぇ、そうですね。ですが、生憎、人様の力を借りてまで大きくしようとは思わない。そして何より、長谷川グループのメリットが見つからない。本当は何が目的なんですか?」

「目的なんて、ジュエリーショップcloverを大きくすることしか考えていません。ただそれだけです。……それでは理由になりませんか?私は今まで直感で会社をここまで大きくして来た。それは、このジュエリーショップcloverを大きくできるという直感も嘘ではない」

「………」









洋輔の言葉に、徹也は黙ってしまった。





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