♠俺様王子と貧乏メイド♧



「…へえ。それで転校したんだ。」



私は正直に勇人に話した。





「ごめんね。何も言わずに転校
 しちゃって。」


私はずっと拗ねたように俯いてる勇人に
謝る。



勇人は少しの間、ずっと黙ってた。


でもやっと口を開く。



「ほんとだよ。茜もクラスの皆も
 お前がいなくなって、すげー
 悲しんでたよ。俺だって…」


「うん。ごめん。
 私、これから仕事とかあって、
 もうこうやって話せなくなるかも
 しれない。」


私は貧乏なお家を守らなくちゃ
いけないの。

しっかりしなきゃ、





「何で急に遠くに行くんだよ?
 俺ら、ずっと一緒だったじゃん!」



勇人は私の腕を掴み少し潤んだ瞳で
私の顔を覗く。



そんな勇人にわざと笑顔を作って
笑った。


「勇人も頑張ってね!応援してる。
 じゃあ帰らないと行けないから…
 じゃあね」


勇人の腕を振り払って
私は走って公園を出た。


勇人が私の名前を呼んだけど無視。





「…っ」



私だって寂しいよ。

いくら学校が近所だからって
次いつ会えるかも分かんない。



でも分かった事もあるの。
私はもっと強くならなきゃ。



だから、すこしの間だけお別れ。





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