その光を、追いかけて。




ひたいに貼られた冷えピタ。

汗をかいた寝間着。

走ったあとみたいにぼーっとする頭。



「……は?」



風邪を引いて学校を休んでいた俺の見舞いに来た柚季の発言に、生気の感じられない声がこぼれた。



「だからね、輝、メンバーに選ばれたんだよ! 10月の長距離記録会の!」



はしゃぐ柚季の声が頭に響く。

ぐわんと揺れた頭はそのままぽすん、と枕に収まった。



「え、ちょっと大丈夫⁈」

「本当?
柚季、うそ吐いてんじゃねぇの?」

「失礼な! あたし、そんなつまんない嘘吐かないよ!」

「じゃあ俺、本当に……出れるってこと?」



じわり、と滲みそうになる涙をふとんで隠す。

ぎゅうぎゅうと顔を押しつけた。



これはあれだ、風邪のせいだ。






< 117 / 421 >

この作品をシェア

pagetop