私には、ストーカーがいる

「小娘がびびったか?年長者を敬わないからだ!」

ハゲた頭も月明かりが反射していた。太陽だけでなく、月の光にもソーラーパネルだなんてスッゴいエコだ。

「覚えているか、覚えてないわけないよなぁ?コンビニのバイト風情が、よくも俺をコケに……!おい、聞いてんのか!?」

「すみません、聞いてません。電話中なので。もしもし、警察ですか?」

割れたコップを投げられた。
ナイスヒット、スマフォを持っていた右手がやられた。

ずかずかと私に歩み寄り、私の髪を掴む男。そのまま、壁に突き飛ばされる。

「自分の状況分かってんのか!お前は、あの時のことを謝罪しろ!」

仁王立ちになり、人を指差し、唾を吐きながら言葉を発する男を私は知らない。世界に同じ顔は三つあるとか言うけど、中肉中背加えて中年メタボ予備軍、頭部砂漠化進行中のそっくりさんは千はいるんじゃないだろうか。

がみがみとやかましい口だった。
頭打ったせいか、意識が軽いような気がする。飛びそう……

知らないおっさんが部屋にいて、荒らし、私に暴力を振るう。かなりのピンチ。でも、始終私の心は落ち着いたままだ。

焦るわけがない。
それどころか、“笑ってしまう”。

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