雨音はショパンの調べ
真珠の涙
ツーと頬を伝った、君の涙を思い出しながら、煙草をふかした。

喫茶店の小さな窓を叩き、雨が降っている。

空が激しく泣いている。


煙るように降る雨。

あの日の君の微笑が、今も胸にひっかかる。


「別れの話は陽のあたるテラスで」


君の言葉を忘れていた訳じゃないさ


まともに、君の顔を見れなくて、窓の外ばかり見つめてた。



「俺たち 潮時だな」


ポツリ告げた、一言。
君の頬に流れた涙。


6月なのに……。
誕生石の真珠を いつか君の指にと思っていた。

なのに……年を重ねるごとに 何かが少しずつ、すれ違っていくように思えた。


いつの間にか、何も言わず 傍に居てくれる君の優しさが重荷になった。


知ってたんだよな
仕事だって嘘ついて、君以外の子と会ってたことも……。

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