イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「祥太が、私の事を一番大事だとか、一番好きだとか……そういう事言う度に、じゃあ二番は誰なんだろうって……。そんな事思って、ツラかった。
祥太が浮気してからずっと……一番って言われる度に、ツラかった」

初めての告白に驚いたのか、祥太は眉をしかめ、目を見開いていた。
決して傷つけたいわけじゃないのに……。

私が言葉にするすべてが祥太を傷つけてしまっているように感じて、なかなか声になろうとしない。

「祥太といると楽しいとは思う。
けど……それよりも、もうツラさの方が大きい……。
祥太にね、何を言われても……もう、全部裏返してとる事しかできないの」

――好きって言葉さえも。

ずっと続けてきた関係を切るのは、例えそれが私の希望だとしても私自身も傷つくモノなんだと初めて知る。
……ううん。もしかしたら、それをどこかで知っていたからこそ、私は今まで別れを選ばなかったのかもしれない。

自分が傷つく勇気がなかったから、自分を守るために、別れを選べなかったのかもしれない。
祥太との関係を自業自得だとよく思っていたけれど、その言葉が今重みを増してのしかかる。

これは、臆病な私が招いた結果だ。

「俺は、別れたくない。
実莉がツラいなら、それはこれから俺が取り払うし、いつでも実莉が笑っていられるように頑張るから。
俺、本当に変わるから」

ぐいっと目をこすった祥太は、そうハッキリと言ってから私を見て笑う。

「俺の事、好きじゃなくても……嫌いじゃないだろ?」

祥太の、必死の微笑みに……ぐらっと、大きく気持ちが揺れた。
――でも。

「嫌い……」
「え……」
「祥太が、そんなズルい聞き方するなら……嫌いって答えるしかないじゃない」

なんとか笑みを浮かべた私に、祥太がツラそうに顔をしかめる。

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