イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「これから会うの、実莉も少しは知ってるやつらだから一緒に行かない?
ほら、大学ん時何度か会った、矢島と真塩」

覚えてるだろ、と言われて、確かにふたりの顔は頭に浮かんだけれど。
特に親しかったわけでもないし、会ったって言っても祥太に連れて行かれた飲み会で二度くらい話しただけだ。

「ううん。いい。あんまり知らないし」
「そうか? でもいいヤツらだし、行けばきっと楽しいし、俺も実莉とまだ一緒にいたいしさ」
「うん。でも明日もまだ仕事あるし。今日はいい」

断ると、祥太の顔がみるみるしょぼんとしていく。

「じゃあ、帰りに実莉んち寄ってもいい?」

捨て犬みたいなすがるような目で見られたら、頷きたくもなるけれど。

「ううん。だから明日も仕事だから早く寝たいんだってば。
……また今度ね」

なんとか断り、この話は終わりとばかりにまた今度と告げると、ようやく納得したのか、祥太が残念そうにふぅっとため息をつく。
それから、今のため息はなんだったんだってくらいに明るい表情に切り替えて「分かった」と笑った。

素直で無邪気で可愛い祥太はいつだってみんなの引っ張りダコで人気者で……。
そんな祥太と一緒にいると、私まで明るい気持ちになって悩みなんてどこかに飛んでいく。

間違いなく、祥太は私にとって元気の源で太陽みたいな存在だ。
……いや、だったって言った方がいいのか。

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