イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「ひとり寂しく母校の文化祭になんか行くっつーから、わざわざついてきてやったんだろーが」

感謝しろよと聞こえてきそうな態度で言う風間に、眉間にシワを寄せる。

確かに金曜日の帰り、一緒になった風間と帰りがてらそんな話はした。
土日何か予定あるのかって聞くから、母校の文化祭があるらしいから行ってみようかなとは思ってるって感じで。

けどそれは別に一緒に来て欲しいだとか、そんな意図なんてこれっぽっちもなかったし、むしろ正直に白状すればついてきて欲しくなんかなかった。

特に風間には。

私はここに、祥太との事をしっかり考えるために来たのだから。

「ひとりだから寂しいなんて誰も言ってないでしょ。それに何度も言うけど、これから待ち合わせしてるんだから風間は帰って」
「だから、待ち合わせ相手が来たら帰るって何度言えば分かるんだよ」

何度も言わせんなよって聞こえてきそうな顔してるけど、そうしたいのは私の方だと口を尖らせた。

朝電話があったかと思えば急に今日何時に家を出るのか聞かれたのが、二時間前の事。
寝起きの頭でバカ正直に答えたせいで、家を出ようとしていた時にチャイムが鳴って、出たら風間がいて。

帰ってよ。待ち合わせ相手が来たらな。という会話を何度も繰り返しながら電車に揺られて今に至る。


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