イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


まぁ、ずっと武道をやってきたらしいから姿勢も体格もいいしで、スーツなんか着てるとびしっとしていて確かにカッコよくもあるんだろう。
おかげで、新しい仕事で外に行っては誰かしらに連絡先を教えて欲しいと言い寄られている。

そこで携帯でもなんでも教えてくればいいのに、いっつもお店の番号を教えてて。
その子たちの相手をするのが面倒なのは分かるけど、だったら最初から毅然とした態度で断ればいいのに、と何度文句を言った事か分からない。

これだけ私とギャンギャン言い合う風間が、仕事先ではきちんと大人しくし、番号を聞かれても「うるせーな」とか睨みつける事もなく望まれるまま教えているというのだから、文句を言うよりも褒めるべきなのかもしれないけれど……。
でも、毎度とばっちりを受けている私の身にもなって欲しい。

「次かかってきたらもう、私が風間の携帯教えるからね。
風間は鳴り止まない電話地獄に苦しめばいい」

ふん、と鼻を鳴らしながら祥太との待ち合わせ場所である居酒屋に向かう。


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