イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「風間さんの言うとおりですよ、先輩。
フェミニスト浮気男が全部悪いんですから、実莉先輩は何も気にする事ないですよ。
大体、これだけひどい事されてるのに一体何を先輩が気にするんですか」
「……うん」
「あ、先輩。カウンター拭き掃除終わりましたよね? 雑巾、一緒に片付けちゃいますよー」
「あ、うん。ありがとう」

持っていた雑巾を渡すと、村田さんがそれを洗うために外にある水道に行く。
その様子を眺めながら、カウンター上にあるパンフレットをとんとんと揃えて……手を止めた。

『おまえだって、誰彼かまわず向けられる祥太の優しさに不満だとかを感じてるんだろ?』

祥太の事をそんな風に考えちゃうなんて、自分でも自分がひどく思えたから誰にも知られたくなかった。
だから、意識して隠してたし、そんなハズないとも思うようにしてた。

祥太の長所のハズなのに、それを否定するような事思うのは、おかしいって。

祥太が浮気をしちゃうのだって……本当に相手の子の気持ちを断りきれなくての事なんだ。

村田さんの言ってた通り、それは本当の優しさではないかもしれないけど。
祥太も、それを優しさだと自分で思っているのかは分からないけど、相手の子が望むから、それに応えてるのは確かで。

そしてそれは、相手の子を考えての事であって、私の事を考えてくれてのものじゃない。
つまりその時祥太は、私よりも他の子を優先して考えてるって事で。

祥太の中で……私の存在って、なんなんだろう。

そんな疑問が、遠くなった意識の向こう側に浮かぶ。

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