義兄(あに)と悪魔と私
 
(風邪……?)

最後の一文に首を傾げる。
どうやら、私の無断欠席がそういうことになっているらしい。
不思議なこともあるものだと思いながら、深くは考えずに瀬戸くんに返事をする。

《ちょっと用事で休み。元気だから心配しないでいいよ!》

丁度メッセージを送信し終わったその時、私は目の前に人の気配を感じて顔を上げた。

「何やってんの? 馬鹿なの?」

そこには息を切らした制服姿の比呂くんが立っていた。
見たこともないような怖い顔で、こちらを睨み付けている。

「なっ……なんでいるの?」

その迫力に圧倒されて、思わず声が裏返る。

「学校を無断欠席なんかしたら、家に連絡いくに決まってるだろ。もう少し考えて行動しろよ!」
「あ……、そうだね」

比呂くんはため息をつくと、私の向かいの席の椅子を乱暴に引いて座った。
 
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