義兄(あに)と悪魔と私
エピローグ
 
出張先から戻った有坂さんは、比呂くんから事情を聞くとすぐに母を連れ戻しに北見家へと向かった。

そして、母を知り合いの病院に入院させたと聞いたのは、その翌日のことだった。

どうにも事態の飲み込みが早いと思ったら、おじさんは母とその兄との関係を知っていたらしい。
もっとも、今もそれが続いているとは思ってはいなかったが。

母の過去も、私の父も、全てを承知で受け入れたというおじさんが、一体母のどこにそれほど惹かれたのかは、今もずっと分からない。

おじさんの話では、母は昔実の兄から性的虐待を受け、私を妊娠し、逃げるように実家を出たらしい。

それでも、あの異常な兄から完全に逃れることはできず、最近では私に秘密をバラすと言って脅され、関係を強要されていたとか。

今は精神を病んで療養している母が元気になったら、また家族四人で暮らそうとおじさんは言った。
 
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