仕合わせ
初恋

 白い大きな家と
ロングコートチワワを二匹、

そこに私と、トヨがいて

「幸せな家庭」を築くはずでした。








 嗚呼、なんで今こんな話になっているのでしょう。


『もう駄目です。きっと駄目です。僕達は…』

「私は離れたくありません!考えなお
『僕は決めたんだ!』









 お先真っ暗 とはきっとこの事でしょう。


 私は松田という男学生さんとの仮初の快楽に負け、
 哀しい過ちをおかしました。



 トヨは私の安らぎでした。


トヨといるだけで、私は春風に吹かれながら、ハンモックに揺れているような、心地良い気分でした。

トヨは私と逢う度に泣きました。
もっと幸せにしてやりたいのに、と泣きました。

トヨは、泣き虫でした。

トヨは、私を、心底、愛してくれました。

トヨは、世界で、もう、こんな人いないわと、思う程、素敵な人でした。


トヨ トヨ トヨ




愛しているんです。


私が、馬鹿だったんだわ。
私が、間違っていたんだわ。



嗚呼、もう二度と、悲しい思いはさせないのに!





…過ちを犯した人間は皆こう言うそうですね。



トヨ 私はとても生きて居れません。

約束はどうなりますか?

祇園祭、今年こそ一緒に行きましょうって
お花見も、東京旅行も、


どうなりますか?


 嗚呼、明日も早いのに。

目が腫れて、兎みたい。


深夜二時



トヨ


いっそ私を殺して下さい。


笑って、首を締めて下さい。
とても幸せだわ。








ふらつく足取りを

ぼやけた視界の中、ただただ、見て

フラフラと、階段をあがって、




トヨが呉れたブレスレットを握り締めて


窓から身を投げました。
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