【完】立花くんは愛し方を間違えてる。




……入れて、なんて気軽に言っちゃったの、まずかったかもなぁ。




「……なんで、そんな離れんの?」



「あっ、いや、これは……」




怪訝な目で見られて思わず苦笑い。


だって距離が近すぎるんだもん……!




「もっとこっち来ねぇと、濡れるぞ」


「わっ……」




ぐいっと引き寄せられ、トン、と肩同士がぶつかる。


肩同士と言っても、身長差のせいでわたしの肩は立花くんの方のすごく下の方にあるんだけど。




「ちっ……近いよ!」



「は? 仕方ねーだろ、狭いんだから。それとも何? やっぱり濡れてーの?」



「濡れたく……ないです」



「じゃあ大人しくひっついてろよ」




やっぱり、入れてなんて言わなきゃよかった。



立花くんといるといつも、わたしの心はザワザワと騒がしくなってしまう。


平常心を保てない。




……なんで、ドキドキしてるの、わたし。




狭い傘の中でこの音が立花くんまで聞こえてしまわないか不安で、胸元にぎゅっと手を当てる。



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