【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
……もしかして、立花くんとあの女の子のことを見てる?
今の一瞬で、もしかして気づいたの?
わたしが、どうして泣いてるのか。
……まさか、伊武くんに限って、ね。
そう、かと思えば。
「ちょっと、来い!!」
「っへ? え、なに? ちょっ……」
強引に手を掴まれ、そのままぐいぐいと引っ張ぱられる。
えええ!?
「ど、どこに行くの!?」
「いいから、ついてきて」
ずんずんと迷いなく足を進めて行く伊武くん。
っていうかこの既視感……
前にも、立花くんとこんなことがあったような。
似た者同士……。
───もう、このタイプの人ってほんとうに何考えてるのか分かんないよ!!
涙はいつの間にか引っ込んでいた。
それは、一見、乱暴なふうにも思える手が、なぜだかとても優しくて。
少し、安心してしまったからかも知れない。