【完】立花くんは愛し方を間違えてる。




「くるみ、」


「へ……っ!?」


「くるみ」



何度も名前を呼ぶたび、分かりやすく赤くなるから可愛い。


こんな表情、俺以外の誰にも見せるなよ。




「───くるみ、大好き」




俺はこんな人間じゃないはずだった。



もっと冷たくて、でも誰にでも優しい男だった。



……でも俺は、今の自分が気に入ってる。




「……っふ、れ、玲くん……」




俺のことが好きで、好きでたまらないという顔をしている。


この小さな存在が、腕の中にある限り。




「玲くん、わたしも、大好き」


「うん。知ってる」




俺、こいつがすげー可愛い。



だから……普通になんて愛してやれない。




最大限、おまえの可愛いところが見たいんだ。



くるくる変わるその表情も、その口から紡がれる言葉も、涙も全部、俺のものだ。





だから、やっぱりそうなのかもしれない。





俺は、世界中の誰よりも……




おまえの愛し方を間違えてる。






《立花くんは愛し方を間違えてる》 fin *




< 244 / 245 >

この作品をシェア

pagetop