【完】立花くんは愛し方を間違えてる。



「さ、そろそろ歩くか」



立花くんのその言葉で、わたしたちはみんなでお店を後にした。


お店から伏見稲荷まではとっても近くて、5分もかからないくらいだ。




「くるみ、あとでお土産も見に行こうねっ」


「うん! 楽しみだね」




やっぱり、修学旅行シーズンなのかな。


結構な人ごみだから、はぐれないように気をつけないと。




「成田、おまえ慣れない着物で転ぶなよ」


「……転ばないよっ」


「転んで泣いてても、他人のフリして置いてくから」


「だから、転ばないよ!」




……立花くんは何がそんなに楽しいのか、相変わらず、わたしにちょっかいをかけてくる。


でもやっぱり隣の席じゃなくなってからは、こうしてあまり話す機会もなくなったし。



たまに意地悪されるのも、ある意味…懐かしいというか……


悪くはないというか……



「っ……わわ、違う違う!」


「どうしたの、くるみ?」


「な、何でもないよ加奈!」




わたしは、自分の頭に一瞬浮かんだ感情をすぐに打ち消した。


< 86 / 245 >

この作品をシェア

pagetop