続 鉄の女には深い愛情を
教授の静止を振り切りこっちにゆっくり歩いてきた笠原。



まさか、授業中に現れるなんて誰が想像しただろう




私の身体はガタガタ震えだして
硬くなってしまった。



息をすることまで忘れそうになる。




その時千里が


「逃げてーーー!!
天!!!!!」



と叫んで笠原がいる扉の反対方向の扉に向かって猛スピードで私を引っ張った




千里の声に我に返った私は千里の手をギュッと握りしめて走った。



「…また鬼ごっこ?
やっと見つけたのに、なんで逃げるの?
天ちゃん。
でもカワイイカワイイ僕の天ちゃんがしたいって言うなら付き合うよ」



と焦点の定まらない目で私を見ながらゆっくりと追いかけてきた。



千里は必死に私の手を握りながら走って




「……天…とにかく人の多い所に逃げ込も。その隙に私は健夫に連絡いれるから」



千里は前もこうやって私を守ってくれた



私より小さいのに
私の手を力強く握って



大丈夫私がいる。
っていつも助けてくれる。



こんな千里にもしもの事があったら…



その方が私は絶対に嫌!!!



親友を自ら危険な目に合わせるやつがどこにいる?
そんなのダメ!!!



私は走る足を止めた。



「天! 天!!
ちょっと!
どうしたのよ??
つかまっちゃうよっー!
足を動かして!!」




千里が私の手を引きながら必死になって訴えてくる。



笠原も走るのをやめてゆっくり歩きながら近づいてきた



「…うっさいなぁー。
そこの小さい方の子。
確か前も僕と天ちゃんの仲を引き裂こうとしたよね?
……あんま調子に乗ってるといくら友達でもどうなるかわからないよー……」



笠原が不気味な笑顔を浮かべながら言った。



「…千里。
行って…。私は大丈夫。
千里にお願いがあるの。
このままだと千里まで危険な目にあっちゃう。だから逃げて。」




「何言ってんのよ?
天をおいて行けるわけないじゃない!」



「…大丈夫。
あいつの目的は私だから。
私がオトリになる…
このままじゃ、私たち2人ともアレにやられる」



といって、私は笠原がポケットに忍び込ませてあるものを指差した



「…スタンガン……?」



千里の言葉に私は目だけで頷く。



「…でも…天を置いていけない…」



千里が渋ってる間にも笠原はどんどん近づいてくる。



早く千里を逃がさないと。


「……いい?…千里よく聞いて……
今から絶対に振り返らないで
……逃げて…自分の安全が確保できたらすぐに警察に電話して……いい?
私がアレにやられても
止まっちゃダメ……」




私は声を潜めて千里に耳打ちした。



「……天……そんなことっ‼︎」




「大丈夫。私は死なない。
千里とずっと生きる。
何があっても。
だから逃げて警察を呼んで?
私を助けて………」




私は千里の手を振りほどいて背中を押して笠原の方に一歩近づいた



「……天 無事でいて…………」



と言いながら千里は走っていった

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