陽の沈まない地球
『はっぴばーすでぃとぅーゆー♪・・・』

「あきこ誕生日おめでとう!」
1987年7月、七瀬家にはひとつの明かりが光った。

「ぶぅっ」
「あっ!くうが消したかったのに!」
4人兄弟の3番目で甘えん坊の空(くう)が泣き出した。
「また泣き出した!なきむし!」
長女早希(さき)が言った。
その後ろで次女小雪(こゆき)が笑う。
するとさらに空は泣きじゃくった。
「こら!」
母の怒鳴り声が聞こえてまもなく、早希の頭に石のようなげんこつがおっこちた。
「空、あんたも男なら泣かないの!」

温かな家庭だった。
父も笑い、母も笑い、明子たちも元気に育っていった。
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