ミステリー
理代は心でつぶやく。


それがせめてもの救いである。


彼女たちが学校や、クラスにいなかったら、
お昼休みや休み時間も、
課外学習の時にお弁当を食べる時も、
学校行事でも、
ひとりぽっちである。
これまで仲良くなれた人といったらエルたちを除けば,小5-6の時転校してきて,中2の一学期に転校してしまった,柳平(やなぎひら)美寿ちゃんや
山田美穂ちゃんくらいだ。
美寿ちゃん美穂ちゃんも仏より大仏や女神より優しくて性格良かった。


それと、この間、
理代の母さんは、
エルの母さんから用事で電話がかかってきたとき、
いつも娘が、エルちゃんにお世話なってます、どれほど世話なってるかわからない、
エルちゃんにもわたしから、
ありがとうと言ってくださいね
と、お礼を何回も言っていたし、
そのあとエルの家に、ウン千円の
高いコーヒーと紅茶の詰め合わせの箱をあげた。



(そのコーヒー、紅茶の代金の47%〜49%は、
理代のお年玉の残りから払った。
そして理代のお手製の、まるでお店の製品も顔負けの、エルの家族全員分の
クッキーやワッフル、タルトやケーキ、も
一緒にプレゼントした。
理代は、ほかにもエルに感謝してることがあるからだ。


なにしろ、小3の初めころ、理代とエルが一緒に帰ってるとき、
上級生の安藤という男子が、理代に対し、幼稚園の時のおもらしのことで難癖つけ馬鹿にした時
悲しすぎて半泣きなりそうだった。
エルまで虐められないだろうか。
あたしのせいで。
悲しくて辛くて泣きそうー。
何よりせっかく仲良くなったのに
天使より優しいエルの前でそんな意気地なしなところを見せたくない。
悲しすぎて、でも、エルの前でそんな意気地なしなところは見せられない
と葛藤してたら理代のかわりに
エルが安藤に言い返した。

自分なんか、さっきも昨日もツバ吐いたくせに、
あんたのはねー、下痢やゲロが
鼻くそを笑うのとおんなじよ!
あんたなんてゴキブリ以下よ
ゴキブリの方マシだわ!
おまけに,親戚の人の財布からお金とか
盗んだそうね、アンタのいとこから、聞いたのよ!
あんたのほうがふつうのひとの無量大数×無量大数倍は常識知らずだわ、
エチケットも備わってないよね、
それに、あんたこそ食事すればトイレ行きたくなるでしょ、あんただって食べるもの食べたら、出すものを出すでしょ、
そんなことも知らないのか
あんたの方がドアホだな!と。

エルはその翌日、安藤の担任に
理代が彼から嫌がらせされて貶されて悲しんでると言い付けてやった!
安藤、親にも担任にも怒られたのは当然のこと。

それにエルは普段から優しかった。
小3になって間もないころ、
ある日クラスの男子に,
成田さん(同じクラスの,やや、ぽっちゃりな女の子)
ってデブちいよなー、ドラム缶みたいで、
しかもあのゴリラみたいな顔の,
と言われると,
うーん?と首を傾げ、
それからその男子に対して
成田さんたのもしくしっかりしてるじゃん、
親切で性格いいじゃん、
と言い返した。
エルは、幼稚園時代、両祖父母に,時々
言い聞かせられていた。
ひとの、身体的特徴を、馬鹿にしてはならないよ,それは持って生まれたもので
本人に選べるわけでも望んでその状態でいるわけでもないからね。と。


その日はその後、エルと理代と
エルの友達の宮前くん(かなりイケメン)で、理代の家で遊んだ。
その頃、ロミオの青空というアニメ漫画が流行っていたが、
遊びの時、理代がそのロミオの青空の話をすると、宮前くんは、俺も見てるよ、
是非最終話まで見ておきたい、是非とも次回も見ておこうかな
と言った。

しかし
エルは眉を顰め、
ロミオ,絵柄は綺麗だけど、
僕ちゃん重たい暗い話あんまり嫌い、
生きてるうちに、もっと陽気な面白いアニメ作品をたくさん見ておきたい、と言った。
あーあ,陽気な楽しい元気なアニメや漫画
見たいのになーとぼやいた。
そのとき理代が、確かに陽気なアニメや漫画をたくさんたのしみたいね、と相槌をうつ。

エルは、ロミオの青空の前に放送されてた、冒険アニメの方が、好みだったのだ。
遊び終わると、理代とエルと宮前くんとの3人で、その日の国語の宿題を解いた。
宮前くんは、その日の前の日に返却された、国語の文章題の試験が16点だったので、父親に、
16点しか取れないならご飯もいつもの5分の1の量にしろ、このまんまじゃ、パッコ(アホ、という意味らしい)
の学校に行かなきゃいけなくなる、
ご飯の量も5分の1にしろ!
父さん教育委員に怒鳴り込む!
父さん教育委員会に文句言ってくる!


貴様も貴様だ!
男なら文武両道を狙え!
男ならそんな情けない点数は取るな!
男なら部活動も試験や模試もトップだけ狙え!
それは常識だ!この銀河系ができてからの常識だ!
男なら文武両道を狙うのが当たり前だ!

先生にも怒鳴り込んでくる!
教え子の成績伸ばせないんなら給料泥棒、
コソ泥だ!
税金で給料もらってるくせして
教え子の成績や知能上げられないなら、給料泥棒のコソ泥の泥棒だ!
お前の先生はコソ泥だ、警察に被害届出す!
食後のおやつはなしだ、
できそこないの
ろくでなしめ!
とまるで雷や夕立ちのように激しく険しい顔で
怒られたそう。
すると、父さんは、
母さんから、
先生達だって大変な中、一生懸命教え子に勉強も他の大切なことも教えてくれてんのよ
それに、世の中は自分の得意分野や好きなことを生かして、働けるようにできてるのよ!
みんながみんな偏差値高かったらね、世の中、
医者や研究者だらけなるでしょ
世の中は、医者や研究者だけになっても、まわんないのよ
と、怒鳴られ、反論できずにだまったらしい。



ちなみに安藤について補足すると。
安藤は、理代に難癖付けて馬鹿にした日から数週間後。
遠足で自分が、バスの中でお腹を下し、途中でバスを止めてもらい、草むらで30分ほど用を足し、
それからバスに戻ると今度はバスの中で豪快に嘔吐し、吐瀉物でバス内がひどくよごれひどい悪臭がバス内に充満した!
その遠足の翌日から
クラスで仲間外れや嫌がらせや意地悪いことや、無視されるようなり、彼はどんどん暗く陰気になり、なんでもないことでいじけたり泣く性格となり、クラスみんなから嫌われ、のちに隣の隣の町の私立の初等部へ転校した。

私立の初等部への転校後、安藤は、理代が、
自分に意地悪いことを言われたあの時、泣かず我慢してたなんて、俺よりは少なくとも偉いな
ずっと強いな、と思った。
理代に後から謝罪したいなと、本当に反省したのだ。
そして人にした意地悪は必ず返ってくるのだ、ということを
一番大切な学びを学んだ!)

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