ミステリー
『そうよ!
そりゃあいつの言い方も悪かったけど、
あいつはいつだって誰にでも,ああいうぶっきらぼうな話し方でしょ。先輩にもたてついてかみつくようなやつよ。

私だってあいつにはいつも
ぶっきらぼうに
言われるわ。
そんなんで毎度毎度泣いてたら、きりがないわ。
それに私も、昨日、自分の部屋にちっこい◯も
が1匹でたけど
泣かずに
素手で潰してやったのよー!』

藤咲芽衣が、最後のほうはまるで大きな戦に勝ったかのような様子で言った。

(つい最近も、芽衣と芽衣の母親の二人がリビングにいた時、リビングのソファのそばに小さい◯モが一匹いたので芽衣は青ざめ怖がり、ソファから遠ざかった。芽衣の母親は半ば呆れて、あんたよくこの小さい◯モ見つけること、といい、
素手で退治した。そのとき芽衣は、く◯がいなくなれば世の中平和になるのに、と言った。



また、昨年の秋頃、リビングの窓の外に
くもがへばりつくことがあったので、芽衣は割と早い時間からカーテンを閉めるようなっていたが、ある日母親に
早くのうちにカーテン閉めて、
そんなにくも怖えか!!!
と怒られたので、
芽衣はなけなしの小遣いで
くも用殺虫剤を買い
窓の外にまいておいた。



そのとき、
芽衣はくものせいでなけなしの小遣いがなくなったので、
火山の溶岩や焚き火の中に一度、
くもを放り込んでやろうかな、
あの害虫が悶絶する様を見ようかな、
と思った)


『そうよお!
泣く前にさー、
一言、文句でも言ってやれば?
私は文句言ってやったわよー!

泣かれても
みんなはねー、
とってもねー、
つまらなくなるのよねー!!

みんな、周りの仲間が泣いてると
ほんっとー、
つまらなくなっちゃうのよ、
とても!』
吉村涼子が言った。

『そーよー。
てか、昨日、
中川恵ちゃん(つい最近、引越しで学区が変わり、転校してきた子)にきいたよ。

前の学校でも、感動したからってなら
800%納得するけど、やはり、なんでもないことで泣く人って、
かなり敬遠されてたって。

やはり、感動するのは自分でも止められないけど、感動して自然と泣けるのは800%自然なことだけど

なんでもないことで泣いたりしない方いいわ!』
と、芽衣。


さっき朋子は、
教室のドアの前で
同じクラスの男子•河村憲司に、
『邪魔、そこどけろよな!はやくしろ!』
と言われて、
それで泣いてしまったのだ。


また、おとといも、
3年B組との合同体育の時間に
バスケをやったのだが、
同じチームの谷本慶から
貴様ちょっとのろいぞ!
と言われた時も
悲しくなり泣いてしまった。

その時、B組担当の津谷先生が、

『そんなことを言ってはいけない、
運動神経に限らず、なんでも、
個人差があるのは当たり前なんだから、

それが人間ってものなんだから。
そんなこと言ってはいけないんだよ。』

と、慶に注意はしてくれた。


< 3 / 297 >

この作品をシェア

pagetop