恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

席替えをしたのか、美鈴は色男の横に座

りかわいい声で楽しそうに談笑する。


俺はテーブルに酒を順番に置きながら、

美鈴の気配を感じていた。


珍しく焼酎をロックで飲み始めている美

鈴。


そんな強い訳でもないのに、なぜそんな

無茶な飲み方をするのか心配になる。


美鈴を見るとかなり酔いが回り始めてい

るようで、色男に寄り添い気をひこうと

していた。


新しい恋を求めている美鈴を祝福しなけ

ればいけないのに、俺の心はかき乱れこ

の男に嫉妬していた。


やはり冷静でいられず、カウンターに戻

り気づかれないように美鈴を見ているだ

けだった。


8時から始まった合コンも終了になり、

雅樹がカウンターに来て払っていく。


「大輔さん、ありがとうございました。

おかげでうまく行きそうです」


酔っている美鈴が気になり生返事。


足元がふらつき浴衣の裾から素足がチラ

リと見えている。


そんなことに気づかない美鈴は、玄関ホ

ールで色男に絡んでいた。


「藤原さん、一緒にカラオケ行きましょ

うよ」


腕を絡め、上目遣いで男を見ている美鈴。


カウンターの下で強く拳を握る。


俺は何をしているんだ。


このままでいいのか?


愛しいお前が目の前にいるのにみすみす

他の男にとられて平気なのか?


「なんなのよ。こんな美人おいてどこ行

くつもり⁈あんた、なに言ったのよ。」


美鈴が声をあげ、雅樹に絡み始めた。


美鈴が狙っていた男は、別の女が目当て

だったようで、彼女を追いかけ店の奥に

ある化粧室に向かった。


落ち着いた店内を見渡し、俺が抜けても

大丈夫かスタッフに確認する。


「もうすぐラストオーダーだが、俺が抜

けても大丈夫か?」


「はい…大丈夫です。片付けるだけです

からあがって下さい」


スタッフの1人が答える。


「なら、後は任せた。何かあれば携帯に

連絡してくれ…」


「はい…お疲れ様でした」


「お疲れ…」


そのまま雅樹達の元に駆け寄る。


「店、任せてきたからそいつ俺が送って

いくわ」


怪しむ早希が歩み寄り、何か言おうとす

る。


雅樹が彼女の手を引き言葉を遮る。


「大輔さん、すみません。お願いしてい

いですか?」


「あぁ、美鈴の方こそ迷惑かけたんだろ

う。悪かった。後は、俺が見るからごめ

んな」

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