恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

後悔してもすでに遅く、大輔の怒りが落

ちた。


「俺は、浩輔じゃない。そんなに浩輔が

いいなら姉貴から奪って自分のものにし

ろよ。出て行け…」


冷たく言い放っち背を向ける大輔。


なんで、そんな言い方をするのよ。


こっちを向いて、嘘だと言って抱きしめ

てよ。


震える体…震える声で叫んだ。


「…出て行くわよ。出て行けばいいんで

しょう…大輔のバカ。わからずや。」


大輔…お願い。


…振り向いてよ。


お願いだから…


心の叫びは大輔に届かない。


「さよなら…」


バタンと勢いよくドアを閉めて出て行く



三年前と同じ…追いかけてきてくれない

のね。


私達、もうダメなの⁈


明日になったらごめんって…


大輔が迎えにきてくれるよね⁈


謝ったら許してくれるよね⁈


別れたくないよ……。


朝まで眠れず膝を抱え泣いていた。


突然、携帯の着信音が鳴り響く。


大輔からだと思い誰かも確認せずに電話

に出た。


「もしもし…大輔、ごめんなさい」


「美鈴ちゃん⁈」


大輔によく似た声で美鈴ちゃんと呼ぶこ

の人は⁈


「…こ、浩輔さん⁈」


「朝早くから悪いね。今、大丈夫⁈」


「はい…どうしたんですか?」


「凛が産気づいたみたいで、今から病院

に行くんだけど美鈴ちゃんこっちに来て

くれないかな⁈」


「えっ…予定日まだですよね⁈」


「…突然で悪いけど」


「大丈夫です。今から行きますね…病院

どこですか?」


急いで支度をし、病院に向かった。


病室の前で浩輔さんがうろついていた。


「浩輔さん、お待たせしました」


「あっ、美鈴ちゃん来てくれてありがと

う」


大輔と同じ顔で微笑む浩輔さん。


大輔は今頃まだ寝ているのかな⁈


私のように眠れないぐらい後悔していた

らいいのに…


「お姉ちゃん、どうですか?」


「それが…陣痛が弱くて今は点滴して眠

っているよ」


「陣痛が弱いの⁈」


「微弱陣痛らしくて長くかかるらしい。

体力が持てばいいんだが…」


「…きっと大丈夫よ」


「そうだよな…」


弱々しい浩輔さんを励ました。


「美鈴ちゃん…悪いんだけど凛について

やってくれないか」


「えっ…浩輔さんは⁈」

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