天才に恋をした

23-3

苗も加えて、食卓を囲んだ。

姉貴の旦那は出張らしい。


「行きたくないって騒ぐのよ」



母ちゃんが言う。

「うちだって、苗ちゃんが来て以来、帰ってくるのが早いこと」

親父がニヤリとする。



「体調はもういいの?」と親父が聞く。

苗がうなずく。


「体調?」

姉貴が聞く。



「風邪気味だったのよね」

「でも学校は休まないで、エラいよ」


姉貴は、じっと苗を見た。



「苗ちゃん、女らしくなったね」


母ちゃんがうなずく。

「本当に、キレイになったよね。体調が整ってきたのかな」


母ちゃんが、イタズラっぽく笑う。

「りっくんがね…」

「りっくん?」

「真咲の友達がね…この間、家に来てね…」

「う、うんうん」

「苗ちゃん体調が悪いって聞いて、一回駅に戻ってから、花を買って戻ってきたの~」

「わ…わあ!王子様みたい…」


親父が眉をつり上げた。

「ええ!何やってんの!本当にぃ!?」

「花好きだもんね~?」
< 130 / 276 >

この作品をシェア

pagetop