天才に恋をした
苗がうつむき、妙な間ができた。

俺も別に否定する気はない。


「まぁくん…」

姉貴が何か言いかけたのをさえぎった。

「苗がママになるなんて想像つかねーな」




姉貴が陽人をそっとベッドへ移した。

「うちの旦那さんがね、『この子は目が大きいね。目が大きく生まれたかったから、別の親から産まれてきたんだね』って」

姉貴は笑った。


「『僕たち、どっちも目が細いもんね』って」


俺も笑った。



「私にだってなれたんだもん。苗ちゃんもママになれるよ」




苗は、ベッドにへばりついている。



『まだ』


『まだ』だけど。



俺は、

いつか必ず、

苗と結婚する。
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