天才に恋をした
アツイ悪夢

24-1

角田が口惜しそうに言った。

「さすがに5月じゃなー」



飛行機が羽田を飛び立ち、30分。

俺はすでに眠かった。


謹慎が解けた途端に、またサッカー漬けの毎日。

昨日も遅くまで、試合の動画を見ていた。


「聞いてる?」

「5月が…なんて?」

「さすがに泳ぐには寒いよな」

「海開きはしてるけど…サッカーやろうぜ」

「なんのための沖縄なんだっ!」


角田は、手に持っていたパンフレットを投げつけた。


「女子の水着が見たいんだよっ!」

「…見たいか?」

「見たいよ」

「漫研の佐野ちゃ…」

「あのヒト、俺とスリーサイズいっしょデスカラッ!」


角田にも好みがあるらしい。



「夏にプールあるだろ」

「スク水じゃなくて、ビキニとか見たいじゃん!」


いよいよ眠たくなってきた。

「寝るなよ!つまんないって!寝るなよ!」


面倒くさいヤツ。



「なんか…面白い話しろよ…」

「う…うーん。ううーん…」


すっげーうなってる。



やがて「あっ」と、一声上げた。

「乃愛がさ、外部の大学受けるらしいよ」

「お休み」

「真咲ー!」



チラッと苗のビキニ姿を思い浮かべた。



…エロい。


バカどもには見せたくねぇ。

泳がない時期で良かった。
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