天才に恋をした

38-2

親父が俺を横目で睨む。


「問題は、その相手がお預かりしている娘さんてことなんですけどね…」

「それは村瀬さんご夫婦を信頼して、お任せしていることですから」

「信頼がこんなことになってしまいまして…明日、改めてお話しますが…本当に申し訳ございません」


親父が頭を下げた。

頭を下げながら、目線で俺に合図する。

慌てて箸を置いて、頭を下げた。



宮崎先生は、ふふふと笑った。

苗に似てる…かも。


「そういったことは、ジネンに起こることです」


ジネンってなんだ?


「それにしても、あの…苗さんのためとは言え、セガレが…実は同じ場所に住むようなことに…もちろん部屋は別ですが!」

「コンインなされば宜しい」





……




コンイン?




ナニ語?


「ととんでもない!いやはや!それはまだっ。まだまだまだっ」


親父が首をブンブン振る。

そして俺に向かって言い放った。



「お前もう寝ろっ!」



俺が黙っていると、親父が無理やり席を立たせた。
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