天才に恋をした
そう思うと同時に、アタマに血が上ってきた。

「幸せなんかいらないって…お前、マジで言ってんの?」


苗は黙って、ビー玉のような目で俺を見た。

何の疑問もない顔を見てたら、ますます腹が立った。


「じゃあ出てけよ。幸せなんかいらないなら、出て行ってどこへでも暮らせよ」



苗は微動もしなかった。

フツフツと怒りがわいてきた。

じっとしていられなくて、壁を殴りつけた。

ものすごい音がして、穴が開いた。

けど、止められなかった。



「みんな、何の為にお前の心配したり、甘やかしたりしてるんだよ!」




ようやく苗がひるんだ。

でも逃げなかった。

苗はまっすぐに俺を見ていた。

< 23 / 276 >

この作品をシェア

pagetop