天才に恋をした
オンナなんて

2-1

「お兄さま~」

「角田…次、言ったらぶっ飛ばす」

「羨ましいんだよ~。俺、男兄弟しかいないからさ」


部活中もコレだよ。

女はウザいし、男はメンドくさし、親父がうぜーし。



みっともない、とも言うな。

「ケーキだよ~ん」

とか

「教授から手紙がきてさ。何て書いてあったか知りた~い?」

とか。

テンション高い。



「マジで面倒くせぇな」



親父も面倒くせぇが、苗も面倒くせぇ。

ケーキを皿に乗せるのも俺。

コーヒー入れるのも俺。

苗は、親父の前にかしこまって座っているだけだ。



「オイ!犬じゃねぇんだから、お前も手伝えよ」

「オイなんて呼ぶなよ~。『苗ちゃん』だろ~?」


こんな女らしさのカケラもない奴、オイで十分だ。

苗が立ち上がって、皿を運ぶ。

コーヒーも持って行こうとした苗を止める。


「止めろ。危ない」

「なんだよ~。真咲、優しいじゃないか」

「ちげーよ。コイツ、運動神経サイアクだから」
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