天才に恋をした

14-2

練習が終わって、クールダウン。

ジュース、うまい。



「宮崎さんに悪いことした」



陸玖が本気で反省しだした。



アイツの話なんかしたくない。

サッカー部内の話だけしてたい。

Jリーグでもいい。

ヨーロッパでもいい。



「宮崎さん、興味ありそうだったから」



アイツが来てからロクなことねぇ。



「文化祭でうちのクラス、展示やるんだよ」

「つまんなそーだな」

「まぁね」


陸玖が苦笑いした。

「しかも『権利条約』の翻訳って聞いたら、誰もやりたがらないよね」

「なんでそんな…」



苗の話ばっかり。

他に話すこと、いっぱいあるだろ。




「うちの担任が出した企画なんだよ。他に意見も出なかったし」


俺はあいまいにうなずいといた。

缶を手に立ち上がる。


「真咲の家、寄ってもいい?」


俺は振り返って言った。

「来なくていい」

「だけどさ、割り当てを減らして…」

「いいって!苗の問題だろ!」




俺の剣幕に、陸玖が少し驚いた顔をした。


「何かあった?」

「なにが!?」



俺は缶をゴミ箱に叩きつけた。

「苗が…やりたがってるんだから、やらせとけばいいんだよ!」



陸玖は少し黙ってから、

「了解」

とだけ言った。
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