天才に恋をした

16-3

「まぁくん!」

「まぁくん朝やで!」

「早く起きないと『オジサン』て呼んじゃうぞ!」



うっせーな。

しかも最後のセリフは、親父だ。



ドアを開けたとたん、チビと犬がいっぺんに飛び込んできた。


「うわっ!ぶっ…!苗のとこ行け!苗のとこ!」

「苗ちゃん、もう起きてはる」

「みんなで、お散歩行ったぁ」

「あっそ」



顔、洗おう。

ねみぃ…



「あ!」

チビが俺の足元を指差した。



「足!フンついてる!」

「マジか…!」



新年早々、ウンコかよ!

ガキ、爆笑。

俺の部屋に入っていくチワワを持ち上げる。


「姉貴!ちょっと姉貴!」



慌てて二階に上がってきた姉貴が、目を見開く。


「ええ~?散歩行ったばっかりなのに?」


姉貴の旦那が言う。


「慣れないコースだから、しそこねたんだよ」

「まぁくん、ごめんね~」



ごめんねじゃねーし…。

どうすんの、これ。
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