Sugar&Milk

言葉を失う。変化が大きすぎて笑えない。

「いや、出席していいよ。私に気を遣わないで」

「でも相手の女確信犯なんだよ。朱里がいたのに浩輔に近づいて、もう妊娠したなんて怖すぎ!」

友人は相手の女性を罵倒する。けれどもう私には関係のないことだ。二人の時間を優先したいと言った元カレが選んだ女性はきっと仕事よりも恋愛を優先する人なのだろう。仕事が好きな私には浩輔の求める未来は望めなかった。

いつか私も結婚して子供が産まれて……その時の生活は今とどれほど変わってしまうのだろう。私はパートナーとお互いを尊重し合える関係でいたい。
自然と浮かぶのは瑛太くんの顔。彼はまだ大学生。これから就職活動が始まる。たくさんの出会いがあって私以外の女性ともたくさん交流する機会があるだろう。もっと距離感や相性が合う女性が現れるかもしれない。私と付き合い続けることによってその可能性を潰してしまいたくはない。それに瑛太くんが就職したらもっとすれ違う。

恋人としての時間は楽しかった。けれどいつまでもそれではいられない。避妊はきちんとしていても万が一私が妊娠したら? 彼は自分を犠牲にして私に寄り添ってくれるだろう。それを苦だとも思わずに。今じゃなくても一年後に妊娠したら? 三年後は? 私にとっては遠くない未来でも四歳も年下の瑛太くんの生活を縛り付けてしまう。
瑛太くんの将来に私を含めてしまってはいけない。その重さをやっと実感した。
私は瑛太くんから離れなければ。



< 110 / 148 >

この作品をシェア

pagetop